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本籍地以外の戸籍でも取りやすくなる?戸籍法改正で便利になるのか?後編

戸籍の広域交付

こちらの続きになります。

本籍地以外の戸籍でも取りやすくなる?戸籍法改正で便利になるのか?前編

広域交付と従来の請求との比較

改正後の広域交付 従来の方法
①請求先 最寄りの自治体 本籍地
②請求方法 窓口のみ(それ以外は不可) 窓口、郵送、コンビニ交付
③請求できる者 戸籍に記載されている者

その配偶者・直系親族

戸籍に記載されている者

その配偶者・直系親族

④本人確認書類 戸籍法施行規則第11条の2

第1号の書類のみ

戸籍法施行規則第11条の2

第1号もしくは第2号の書類

⑤請求できる戸籍 電算化された戸籍 本籍地の全ての戸籍
⑥代理人請求 不可 可能
⑦手数料 戸籍謄抄本450円 除籍謄抄本750円 戸籍謄抄本450円 除籍謄抄本750円

 

①請求先

「最寄りの自治体」とは住民票をおいてある役所だけではなく、勤務先の最寄りの役所でもどこでも大丈夫です。

ただし、自治体によっては本庁のみ対応可で出張所などでは対応していないこともあります。

 

②請求方法

「③請求できる者」のうちいずれかが、窓口に行く必要があります。

郵送でこの広域交付制度を利用することはできません。

コンビニでマイナンバーカードを利用しての取得にも対応していません。

江戸川区では予約制になる予定だそうです。

 

③請求できる者

こちらは従来と変更ありません。

 

④本人確認書類

従来での本人確認書類では、健康保険証などを組み合わせて取得することも可能でした。(水色のマーカー部分)

ですが、広域交付を利用するには公的機関発行の顔写真つきの書類に限られます。(黄色のマーカー部分)

戸籍法施行規則第11の2

 

⑤請求できる戸籍

ここがキモです。

「電算化」された戸籍だけがこの制度を利用して取得できます。

最新の横書きの戸籍は電算化されたものになります。

さらに電算化にはイメージデータ化されたものも含まれます。

昔の手書きのものでもイメージデータ化されていればこの制度で取得できますし、されていなければこの制度は利用できません。

それは自治体によって違いがでます。

イメージデータ化するための人手にもよるのかもしれません。

 

前述で「かも」「かも」と記載したのはこのためです。

自分の取得したい戸籍がすべて電算化されていれば丸っと最寄りの自治体で取得できますし、一部でも電算化されていないものがあれば本籍地で取得するしかありません。

 

⑥代理人請求

広域交付では代理人請求は認められません。

③請求できる者が窓口に行く必要があります。

代理人請求ができないので、委任状で請求したり、士業の職務上請求書での取得もできません。

委任状や職務上請求書を利用するには、従来どおり本籍地で取得するしかありません。

 

⑦手数料

このように決められていますが、広域交付では高くなる可能性があるようです。

各自治体の条例により上下するかもしれません。

というのも「最寄りの自治体」で広域交付が利用できることにより、勤務中の空き時間を利用して取得する人が増えることが考えられるからです。

そうすると都市部の役所に業務がかたよることが予想され、そういった地域では手数料が高くなる可能性があります。

 

懸念事項

1)紙戸籍のイメージデータ化は自治体によって異なる

どこまで電算化されていて広域交付に対応しているかは、自治体によって異なります。

なので自分の出生からの戸籍すべてが広域交付だけで取得できるかはわからないのです。

 

2)全国で焼失した除籍があること

戦争などで一部焼失したものがあり、それを取得することはかないません。

 

3)行政区画の変更をした地域がある

例えば、江戸川区の一部が元は墨田区だった。

江戸川区の一部が元は葛飾区だった。

という区境変更にかかった地域があります。

そうなると広域交付のための検索によけいに時間がかかります。

江戸川区で検索しても見つからないが、墨田区で検索したら見つかる、というケースもありえるようです。

 

4)1から3の情報は全国の自治体で共有されていない

広域交付は法務省の新システムを利用して、役所の人が検索して情報を取ってくるようです。

1から3の情報は共有されていないため、検索に時間がかかることが予測されます。

そういった理由から江戸川区では予約制を採用することになるそうです。

自治体によっては予約制をとらないところもあり、対応はまちまちです。

 

現戸籍を窓口で取る場合、混み具合にもよりますが、受付されてからそこまで待つことはないと思います。

予約制を採用するということは、それなりに時間がかかると思って窓口に行った方がよさそうです。

現戸籍を取るようにすんなりいくと思って窓口に行ったら、想像以上に待たされることも覚悟した方がいいかもしれません。

 

まとめ

この広域交付、すごく便利で利用しやすいという方もいらっしゃると思います。

今までの本籍地での戸籍がすべて電算化されていれば、丸っと取得できるわけですから。

ただ必ずしもそんな方ばかりではないかと思います。

相続に関するお悩みも含め、戸籍収集が大変だなと感じられた方、ご相談ください。

お受けできることがあれば、幸いです。

ご相談等はこちらからどうぞ。

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