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2.22024
本籍地以外の戸籍でも取りやすくなる?戸籍法改正で便利になるのか?前編

目次
個人的に、住民票は取る機会がそれなりにあるけれど、戸籍はあまり取得することがないなと思っています。
ですが、ひとたび戸籍が必要となると取得するのに面倒なケースが出てきます。
マイナンバーカードがあればコンビニで取れますが、なければ役所に出向く必要があります。
住民票は、自分の住んでいるところの役所にいけば取れますが、戸籍は本籍地の役所に取りにいかなければなりません。
郵送でも対応してもらえますが、手数料の支払いは今のところ定額小為替しか対応していませんので、わざわざ郵便局で手数料を支払って購入するわずらわしさがあります。
戸籍制度と住民基本台帳制度
ざっくりいうと、戸籍制度は身分関係の証明書などについての制度で、住民基本台帳制度は住居関係の証明書についての制度です。
(本当にざっくり)
戸籍制度 | 住民基本台帳制度 | |
取得できる場所 | 本籍地 | 住所地 |
国籍 | 日本国籍者 | 日本国籍者・外国籍者 |
記録内容 | 親族的身分関係 | 居住関係 |
根拠法令 | 戸籍法 | 住民基本台帳法 |
請求できる人 | 戸籍に記載されている者
その配偶者・直系親族 |
住民票に記載されている者
同一世帯(住民票)に属する者 |
対象となる証明書 | 戸籍事項証明・除籍事項証明など | 住民票の写し・戸籍の附票など |
戸籍の附票は「戸籍」との名がついていますが、住民基本台帳制度になります。
というのも、そこに本籍をおいてからの住所の履歴が載ったもの(居住関係)だからです。
戸籍は本籍地が変わった分だけ存在する
住民票は今住んでいる住所地の役所に取りに行きますよね。
引っ越し前では転出届を、引っ越し先では転入届を出します。
住民票が必要になったら転入した場所の役所で取得します。
それに対し、戸籍は本籍地で取得します。
戸籍は現戸籍(今本籍をおいているところのもの)を必要とするケースが多いですが、出生から死亡までの戸籍を収集する必要がある場合が出てきます。
相続のときです。
ご経験なさった方はご存じだと思いますが、親が亡くなったりして相続手続きをするときに、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めてください」と言われて集めたことはないでしょうか?
この時、住民票と違って1か所で取るだけでなく、本籍地を動かしていたらそれごとに転々と追っていかなければなりません。
引っ越ししても本籍地は動かさない方がいいな、と実感することになるでしょう。
戸籍証明書等の広域交付が始まります
令和6年3月1日より戸籍法の一部が改正されて、新しい制度が利用できるようになります。
戸籍証明書等の広域交付です。
現状の戸籍の取得方法
引用:戸籍法の一部を改正する法律案 改正の概要より
今まで本籍を置いたA市、B町、C村からそれぞれ戸籍を取り寄せる必要があります。
遠方であれば郵送でやり取りすることになります。
新しい制度が始まっても、こちらの請求方法は従来通り利用できます。
広域交付での取得方法
引用:戸籍法の一部を改正する法律案 改正の概要より
最寄りの役所で丸っと取得できるようになるかも、という制度になります。
戸籍がいろんな本籍地に散らばっていても、窓口が1つですむかも、という感じです。
「かも」「かも」言ってる理由は後述します。
広域交付と従来の請求との比較
改正後の広域交付 | 従来の方法 | |
①請求先 | 最寄りの自治体 | 本籍地 |
②請求方法 | 窓口のみ(それ以外は不可) | 窓口、郵送、コンビニ交付 |
③請求できる者 | 戸籍に記載されている者
その配偶者・直系親族 |
戸籍に記載されている者
その配偶者・直系親族 |
④本人確認書類 | 戸籍法施行規則第11条の2
第1号の書類のみ |
戸籍法施行規則第11条の2
第1号もしくは第2号の書類 |
⑤請求できる戸籍 | 電算化された戸籍 | 本籍地の全ての戸籍 |
⑥代理人請求 | 不可 | 可能 |
⑦手数料 | 戸籍謄抄本450円 除籍謄抄本750円 | 戸籍謄抄本450円 除籍謄抄本750円 |
さて、本題に入ったところではありますが、長くなりますので後編へ続きます。