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6.202026
【2026年民法改正】使いにくかった後見制度が便利に?デジタル遺言(保管証書遺言)の新設も解説

2026年6月17日、参院本会議で賛成多数で改正民法が可決、成立しました。
成年後見制度の見直しについては2年6ヶ月以内、デジタル遺言については3年以内にスタートします。
ただし、今回の記事でご紹介する制度は「こうなることが決まった」という段階であり、2026年6月時点ではまだ利用できる制度ではありませんのでご注意ください。
成年後見制度の変更点
成年後見制度については、過去にもこちらの記事で解説しています。
これまでは、認知症などの精神上の障害による本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれていました。
これが今回の改正により、「補助」に一本化される方向となります。
判断能力が不十分で補助開始の審判が下りると、補助人(=後見人)という人がつきます。
認知症などで判断能力が低下し、補助人が必要になった人のことを、これまでは「被補助人」と呼んでいました。
しかし、改正後は「補助開始の審判を受けた者」という呼び方に変わるようです。

今までの制度では、一度ついた補助人は、本人が亡くなるか、奇跡的に判断能力が完全に回復するまでは一生離れませんでした。
認知症などで判断能力が十分に回復するケースは極めて稀であったため、実質的に「本人が亡くなるまで終わらない終身制」だったのです。
さらに、本人のすべての財産を補助人が一括して管理することになるため、非常に融通が利かないという問題もありました。
たとえば、孫の大学進学のための資金を援助することすら、「本人の財産(利益)を損なう」と判断されて認められないケースもあったのです。
一体、誰の財産なのでしょうか。
また、補助人への報酬も発生します。
一度補助人がついたら、一生その報酬を支払い続けなければならないという経済的な負担もありました。
そのため、これまでの後見制度は非常に「使い勝手が悪い」と言われていたのです。
こうした課題を解決するために改正されたのが、今回の内容です。
新しい制度では、補助を必要とする人が「特定の行為(例:不動産の売却など)」をするためだけに、期間限定や目的限定で補助人をつけることができるようになります。
デジタル遺言について

民法第967条は、現在以下のように定められています。
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。(略)
これが、改正により以下のように変わります。
遺言は、自筆証書、保管証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。(略)
この新設される「保管証書」が、いわゆる「デジタル遺言」と呼ばれるものです。
これに伴い、民法第968条の2が新設されます。
1 保管証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、遺言の全文(電磁的記録に記録された場合にあっては、遺言の全文及び氏名)が記載され、又は記録された証書について、署名又はこれに代わる措置として法務省令で定めるものを講ずること。
二 遺言者が、遺言書保管官(法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)第四条に規定する遺言書保管官をいう。以下この款において同じ。)の前で、その証書に記載され、又は記録された遺言の全文を口述すること。
2 前項の規定によりした遺言は、法務局における遺言書の保管等に関する法律の定めるところにより当該遺言に係る証書を保管しなければ、その効力を生じない。
これまでの「自筆証書遺言」では、遺言内容の全文・日付・氏名を必ず自分の手で(自署で)書かなければなりませんでした。
(※添付する財産目録については、パソコンで作成したものでも可能でした)
しかし、新設される「保管証書遺言」では、この本文さえも自署する必要がなくなります。
つまり「電磁的記録(パソコン等での作成)」が可能になったわけです。
第一号の「署名又はこれに代わる措置として法務省令で定めるもの」は、マイナンバーカードによる電子署名などが想定されているようです。
また、第二号の「遺言書保管官の前で全文を口述する」というのは、対面だけでなくオンラインでの本人確認手続きなども想定されています。
このようにパソコンで作成し、オンライン等で本人確認を経て、最終的に法務局で保管してもらうという手順を踏むことで、デジタル遺言書を作成できるようになります。
法務局での保管が前提となるため、これまでの自筆証書遺言で必要だった、裁判所での面倒な「検認手続き」も不要になる見込みです。
遺言書にかかる他の変更点
なお、これまで通り「自筆証書遺言」がなくなるわけではありません。
その自筆証書遺言の中で、従来求められていた「押印(認め印でも可だったもの)」が不要になります。
もともと実印でなくてもよかったものなので、大きな影響はないかもしれませんが、より手軽になります。
また、「公正証書遺言」についても、これまでは遺言者や証人に署名と押印が求められていましたが、こちらも「署名のみ」で足りるようになるようです。
最後に
今回の民法改正により、ハードルの高かった成年後見制度や遺言書の作成が、より身近で柔軟なものへと変わっていきそうです。
「終身制だから後見人は使いたくない」「手書きが大変だから遺言は後回しにしよう」と諦めていた方にとっては、非常に嬉しいニュースですね。
制度が実際にスタートするのは少し先ですが、今からできる準備や、現行制度を活用した対策もあります。
「将来の財産管理や相続が心配だな」と感じている方は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。
一歩進んだ安心の準備を、一緒に考えていきましょう。




