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3.232024
「任意後見人制度で分かったリアル~良い機会になりました編~」前編
任意後見制度とはどのようなものかは、こちらをご覧ください。
親子で任意後見契約を結びたいというお話しをいただいており、去る3月某日、公証役場で契約締結のお手伝いをしてきました。
今回はお客様がブログにしてよいとおっしゃっていただき、了承を得てこの記事を書いています。
このブログの題名は、そのお客様が提案してくださった題名をそのまま使っています。
任意後見契約締結への経緯
ご依頼はご両親ではなく、お子様からの申し出です。
父と子、母と子のそれぞれで契約を結びたい。
今はまだ判断能力に問題がないが、ご両親はさまざまな財産をもっており本人たちも管理ができなくなってきているため、今のうちに任意後見契約を結んでおきたいとのことでした。
お知り合いから「任意後見契約を結んでおかなかったから大変な思いをした!!」と経験談を聞かされていたそうです。
とはいえ、ご依頼者も任意後見契約がなにかをよく理解されていないとのことでしたので、法定後見との違いをじっくり説明させていただき、ご理解を深めた上で進めていくことになりました。
ご依頼をいただいた後、やったこと
銀行への確認
今回は財産管理委任契約と任意後見契約を結ぶ移行型です。
財産管理委任契約とは、判断能力には問題がないが身体が不自由で外出しづらい方に代わって金銭管理を行うという契約です。
代わりに銀行に行く、役所に行く、という感じです。
ですがこの財産管理委任契約は、運用を認めていない金融機関が多いです。
そのため、お客様のメインバンクにあらかじめ電話して確認をしました。
公正証書で財産管理委任契約をしていれば、受任者が代わりに窓口での手続きをできるのか?と。
回答は「NO」でした。
任意後見契約は対応しているが、財産管理委任契約は公正証書だろうが無理だと。
とはいえ、何かで利用できるかも知らないので今回は財産管理委任契約も結んでおこうという話になりました。
公証役場とのやりとり
まず印鑑証明書などの必要書類を依頼者に取得して送っていただきました。
公証役場とのやりとりはすべて私が行い、依頼者親子が公証役場に行くことが1回ですむように準備を進めました。
1回は事前に必要書類をもって公証役場へ伺わなければいけないと思っていましたが、今回はすべてメールでのやり取りで終わりました。
なので私も公証役場に行ったのは、作成当日のみです。
案文を依頼者にお見せし、お固く専門的用語が並ぶ契約書をわかりやすく説明しました。
依頼者の意向を聞き取りながら案文を修正し、それを公証人に伝えました。
時には電話で公証人がアドバイスをくださり、内容を詰めていきました。
ほぼ仕上がると同時に、公正証書作成日を予約して、その日を待つだけとなりました。
問題なさそうでもやはり起こるハプニング
当日の持ち物と、公証役場へ支払う金額を依頼者にお伝えします。
印鑑証明書などの必要書類は最初に預かっていたので私が忘れず持っていけばいいだけです。
実印だけは、親子3人とも忘れず必ず持ってきてねと念押ししました。
依頼者であるお子さんは、かなりしっかりなさっているのでこちらも段取りがしやすかったです。
そんな中で発覚したトラブル。
ご両親が「実印がどれかわからないと言っている」というものでした。
ご両親は職業柄、昇進されるごとに印鑑を作ってこられたそうです。
たくさんある印鑑の中に、実印もまぎれていたのでしょう。
お子さんががんばって探してくださったのですが、お母様の実印は見つからず印鑑登録を再度行ってもらう作業が発生しました。
これ、公証役場へ行く前日に発覚していたら予定通りには進まなかったと思います。
「実印はこれ!」とちゃんとわかっている方でも、印鑑登録証明書の印影との確認は必要です。
案外違う印鑑を実印と認識されている方もいらっしゃるかもしれません。
こちらは絶対確認した方がいいポイントです。
プチトラブルとして発生したことがもう1点。
当日は公証役場へ行く前に依頼者宅に伺って最終打ち合わせをする予定でした。
ところがお子さんが突発的な会議だけは参加しないといけなくなりました。
なので、タクシーで両親を公証役場近くのスタバに向かわせる、と。
お子さん自身も公証役場の約束時間の1時間前にはスタバに到着するから、そこから打ち合わせようということになりました。
70代のご両親に、スタバはハードルが高くないか?と私は思いました。
お子さんは自分が到着するまでご両親に接触しないでよい、ということでしたがそれはさすがにできないな、と。
スタバにはほとんど見かけないであろう年齢のご夫婦が店内に入ってきたのでお声がけし、確保していた席にご案内。
お父様は足がお悪かったので飲み物を聞き取り、お母様とレジに注文しに行きました。
お母様に伺うと、やはりスタバなんて来たことがないとのことでした。
飲み物がそろってから、少し雑談をして本題の説明に入りました。
ご両親は難しい話を理解しようとしっかり聞いてくださいました。
長くなってしまったので、続きは後半にしましょう。