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身近なところで相続が発生したら、早々にやった方がいいこととは?

被相続人の死亡

かなり前に「自分に相続が関係したとき」という題名で書いた記事ですが、内容をガラッと更新しました。

 

私の仕事柄や年齢もあって、最近相続関係のお話をよく聞きます。

かくいう私も数年前に父を亡くしました。

ですが子供に迷惑をかけまいと、母がいろいろ片づけておいてくれました。

相続業務としては不動産の相続登記が発生しただけで、こちらは司法書士の先生にお願いし、難なく終わりました。

難なく終わったしまったので、相続手続きの大変さを知らないままでした。

 

「○月○日までに××をやってください!」なんて通知はどこからも来ませんので、急ぎやったことがいいことも知らず知らずのうちに後回しになります。

早めにやった方がいいこと、まず手を付けた方がいいことの一部を、ピックアップしてみました。

 

相続放棄の可能性を考える

相続放棄を考える

亡くなった人(被相続人)の遺産が、明らかに借金などの負債が多ければ相続放棄を検討します。

民法第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

この「家庭裁判所への申述」は、自分が相続人になったことを知ったときから原則3か月以内に行わないといけません。

何もしなければ相続することになります。

 

また注意したいのは、知らないうちに単純承認をしてしまうことです。

単純承認とは、相続することを承認する行動をとることです。

  • 相続人が、相続財産の一部でも処分をしてしまった場合
  • 相続放棄の手続きを取らなかったとき
  • 相続財産を隠して私用で遣ってしまった、または相続財産と知っていて黙っていた

このような行動をとった場合は、相続放棄をするつもりであっても相続を承認してしまったものとみなされるので注意です。

特に、亡くなった人(被相続人)が賃貸物件に住んでいた場合、無駄に家賃が発生するのがもったいないので相続人が解約した場合。

または大家さんに迷惑がかかるからと相続人が解約した場合などは「相続財産を処分した」とみなされる可能性があるため、注意が必要です。

 

相続放棄をする可能性があるのであれば、亡くなった人(被相続人)の身の回りの片付けも注意して行いましょう。

相続放棄を検討するには、まず相続財産を調べ上げるところからのスタートですね。

 

亡くなった人(被相続人)の戸籍を集める

戸籍の収集

金融機関や不動産の相続手続きを行う上で、必ず言われるのが「亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めてください」です。

こちらは本籍地を転々と変えていれば変えている人ほど、大変な作業になります。

これを請求できるのは、亡くなった人(被相続人)の親、祖父母、子、孫、そして配偶者です。

ひとり身の人が亡くなった場合兄弟姉妹が戸籍を集めることになるかと思いますが、兄弟姉妹が戸籍を請求することは原則できませんので、そのためにさらにほかの書類を提出してください、と言われる可能性もあります。

これは自治体によって扱いが異なるかと思います。

 

ひとり身の人は兄弟姉妹が相続人になることが多いので、さらに両親の出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。

(親の出生までさかのぼらないと、兄弟姉妹が確定しないため)

 

本籍地以外の戸籍でも取りやすくなる?戸籍法改正で便利になるのか?前編

本籍地以外の戸籍でも取りやすくなる?戸籍法改正で便利になるのか?後編

 

このような制度も始まりましたが、実際どこまで使い勝手がよい制度なのでしょうか。

 

戸籍を読むにはそれなりに知識が必要です。

全く知識のない人が、出生から死亡までの戸籍がそろっているかどうかを判断しづらいかと思います。

 

ここで嫌になってしまって、誰かに頼もうかな、誰に頼めばいいのかな、と悩むわけです。

実際、ここで行き詰って当事務所にご相談に来られる方がいらっしゃいます。

 

相続争いって…

相続争い

以前にもブログで書いた、山崎豊子さんの「女系家族」

老舗の木綿問屋の社長が、莫大な資産を残して亡くなっています。

その遺産を3姉妹が相続する中で、争いが起こります。

「あれだけ財産があったら、そりゃもめるよね」と思われるかもしれません、が。

 

現代の日本、おどろくべきデータがあります。

遺産分割のトラブルが起こるのは、分割する遺産総額が5000万円以下の場合で78%を占めます。

逆に、1億円以上の財産でもめる割合は、20%もないのです。

(令和2年度司法統計より)

 

私の母もよく言いますが「うちにはもめるほどの財産がない」という一言。

確かにうちはもめなかったのですが、余りあるほどの遺産がないから、逆にもめるのです。

(うちに余りある遺産があったわけではありません)

 

そしてこれもよく言われる言葉。

「うちの子供たちは、仲がいいからもめないわよ」

確かに、子供たちだけならもめないかもしれません。

子供達には、それぞれ配偶者がいる場合もあります。

配偶者は相続人にはなりえませんが、相続人である子供たちにいろいろ口を出してくる可能性があります。

 

ここでもめます。

例えば、亡くなった人(被相続人)の長男家庭には男の子がいて、将来はその男の子が、家系を継いでいく。

そうすると、少しでも多く遺産をもらうべきなんじゃないの?なんて、長男の嫁が長男に口を出してみたり。

嫁の言葉には弱い長男、仲がよかったはずの兄弟に不和が生じてしまう…。

なんてありそうじゃないですか?

 

遺産分割に欲をだすな

昔、読んだ本に書いてあった言葉。

「遺産はもらわないほうがいい」

 

どの本だったか、誰の言葉だったかも覚えていないのですが、お金に関する本であったと思います。

いろんなお金の生み出し方を書いていた本なのですが「相続の際の遺産は欲張ってもらわないほうがいい」という意味のことが書いてありました。

相続争いに巻き込まれるな、ということだと思います。

いろんなお金の話が書いてあったのですが、私はそれだけがいつまでも記憶に残っています。

相続争いに巻き込まれたら、実際得られるお金よりもなくすものが多いということです。

そうやって得たお金を遣っても幸せになれないのでしょう。

 

今、団塊の世代が後期高齢者となっています。

この世代は家族、兄弟が多いです。

人が多ければ多いほど、もめる火種は出てきます。

 

この記事の題名から話がそれてしまいました。

えらそうな話をしたいわけではありません。

相続業務はいろんな人間ドラマを生み出します。

せっかくだからご自身で「相続業務をやってみよう」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

いろんな勉強になるのでそれもよいと思います。

ですが、途中で行き詰ってしまったら、一度ご相談いだければとも思います。

 

身近な人が亡くなったら、やらなければならないことはたくさんあります。

この記事では2点挙げました。

困っている、どなたかの参考になれば幸いです。

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