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遺言書セミナーをタワーホール船堀で行いました

2023年9月17日、タワーホール船堀でセミナーを行いました。

「意外と身近な遺言書のおはなし~子どものいない夫婦、内縁夫婦の相続財産は誰に?~」

江戸川区遺言書セミナー

 

 

遺言書、遺書、エンディングノートの違い

多くの方は「遺言書」は自分にはあまり関係がないもの、と思っていませんか?

実は私もそう思っていた一人です。

遺言書は関係ないと思っていても、エンディングノートを書いている方は多いのではないでしょうか。

遺言書は関係ないけど、エンディングノートは書く?

また、遺言書と似ているものに「遺書」もあります。

遺言書、遺書、エンディングノート、何が違うのでしょうか。

 

遺言書、遺書、エンディングノートの違い

この3つの中では遺言書だけが仲間外れです。

何によってわかれるかというと、「法的効力」があるかどうかの違いです。

遺言書だけは法的効力をもちます。

 

みなさんは、今までに契約書を交わしたことがあるかと思います。

契約書のとおりにしなければ問題がある、それと同じです。

遺言書には法的効力があるために、その内容に従わせることができるのです。

逆に言うと、エンディングノートや遺書にはそのような拘束力はありません。

 

書き方の違い

法的効力があるということは、書き方が決まっています。

遺言書 遺書、エンディングノート
決まった形式が必要 どのように書いてもよい。

 

決まった形式とは、民法という法律で決められているのです。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

「遺言書」と書けば有効な遺言書になるわけではなく、決まった形式で書かないといけません。

全文を自書、つまり自分で書き連ねていかなければならないのです。(財産目録はパソコン入力可)

これがかなり大変だったりします。

 

また、間違えてしまった場合、訂正の方法が難しいのです。

第九百六十八条
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、
これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、
その効力を生じない。

もし訂正の方法を間違えてしまったら、訂正されたのかされていないのかもめる火種になります。

ですので間違えてしまったら、最初から書き直すことをお勧めします。

 

 

書ける内容の違い

また、書ける内容も違ってきます。

遺言書 遺書、エンディングノート
・相続分の指定

・遺言執行者の指定

・相続人廃除、廃除の取り消し

・婚外子の認知

・遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止

・付言
etc.

どのように書いてもよい。
(例)・自身について・延命治療について・葬儀について

・家族について

etc.

婚外子とは、法律上婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことです。

その子を認知することによって、法律上の親子関係が生じ、相続人になります。

遺言書によってその存在を初めて知る、ということもあるのです。

 

 

作成費用の違い

遺言書 遺書、エンディングノート
\数百円~数万円
※自筆証書遺言か公正証書遺言により違います
¥0~

紙と筆記用具、もしくはスマホやパソコンでの作成も可

遺書やエンディングノートは、お手紙の延長上のようなものなので、紙と筆記用具さえあれば書けます。

スマホやパソコンで作成して残す方法でもよいのです。

もしくは音声録音でも可能です。とにかく自由なのです。

それに対し遺言書は法律に則った形式で書かないといけません。

自筆証書遺言は、その名の通り自分で書くため、そこまでの費用はかかりません。

しかし、公正証書遺言は公証役場で作成するため、かなり高額になってきます。

 

(公証人手数料令第9条別表)

相続財産の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

※全体の財産が1億円以下のときは、上記によって算出された手数料額に、1万1000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。

さらに、遺言公正証書は、通常、原本、正本及び謄本を各1部作成し、原本は、法律に基づき公証役場で保管し、正本及び謄本は、遺言者に交付するので、その手数料が必要になります。

 

遺言書は作成すべきなのか?

上記のような金額がかかりますが、私はそれをふまえても、公正証書遺言を残すべきだと思っています。

遺言書とは、残す側(遺言書を作成する人)にそれほどメリットはないかと思います。

自分の意図した財産の分け方ができるくらいでしょうか。

 

しかし残された側(相続人)には大きなメリットがあるのです。

相続手続きの負担が軽減できる、争いを減らすことができるなど。

シンプルな相続であったとしても、遺言書がとても役立つことでしょう。

また、起こるであろうトラブルをなんとかできるのも遺言書を作成する人なのです。

なにも準備をせずに相続人でトラブルが起こった時には、当の本人は亡くなっているのです。

 

残された人に負担をかけたくないと考える人は、ぜひ遺言書を作成することを検討してください。

残された人のメリットを考えるのならば、公正証書遺言は十分、安いものだと考えます。

 

当事務所では遺言書作成のお手伝いを行っております。

くわしくはこちらをご覧ください。

※こちらは、2022年7月5日記事を加筆修正したものです。

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