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認知をするかしないか

認知するのかしないのか

なにやら重いタイトルです。

重い話を書くわけではありませんが、認知をするということはどういうことか具体的にご存じですか?

 

よくドラマの中で、婚外子を認知するのかしないのか、という話があります。

婚外子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことをいいます。

 

認知をするということは、父親とその子供との間に法律上の親子関係を発生させるということです。

DNAを父親から引継いで身体的には親子関係があります(血がつながっている)。

しかし父と母にあたる人が婚姻関係でないために、当然のように法律上の親子関係ができるわけではないのです。

 

認知をするかしないかは、法律上の親子関係が発生するかしないか、ということです。

 

認知したら具体的にどうなるのか?

認知をしたら、法律上の親子関係が発生することになります。

戸籍の表記

その子供の父親の欄に、認知した男性の名前が載ることになります。

父と母が入籍しない限り、父と母の名字は当然違ってきます。

認知しなければ(法律上の)父親はいないものとして、父親の欄は空欄になります。

 

逆に認知した父親側の戸籍でも、認知したことはわかります。

「認知した日」「認知した子の氏名」「認知した子の戸籍」が記されます。

この子供は、母親の戸籍に入っています。

ですから「認知した子の戸籍」の欄には母親の名前が記載されています。

 

認知した父親。認知された子供。

どちら側の戸籍を見ても、婚姻関係にない女性との間に生まれた子どもがいることはわかってしまいます。

「認知をしたいが、妻やその子供たちにばれるのは避けたい」と思っても、戸籍を見られればばれることになります。

 

権利や義務が発生する

親子関係ができるとなると、まず扶養義務が発生します。

父親と母親が別居しているとなると、母親は父親に養育費を請求することができます。

親が離婚した親子関係と同じですね。

逆に、子供にも義務は発生します。

子供が成人しているなら、父親が生活が苦しく困窮している場合には扶養する義務がでてきます。

 

あとは親権です。

やはり離婚した家族と同じで、場合によっては母親から父親に親権を渡すことができます。

 

そして、一番大きな権利は相続権の発生です。

父親に妻とその子供がいる場合、その妻子と同順位で相続権があります。

相続分は、今はどの子供も同額になっています。

婚外子である認知された子供だけが、少ない相続分ということはありません。

 

妻子にばれないで認知したい

戸籍を調べられたらわかってしまうため、生前に認知してしまうと必ずばれてしまうでしょう。

生前に認知?

自分の死後に認知するなんて方法があるのでしょうか?

 

遺言認知

それが、あるのです。

遺言認知です。

遺言書によって、認知することを書き記しておくのです。

すると、その認知により子が出生したときにさかのぼって親子関係があったことになるのです。

 

遺言書によって結局は妻子にばれるのですが、そのとき当の本人はあちらの世に旅立っています。

少なくとも、いろんな種をばらまいた本人はもめごとの渦中にはいなくてすむわけです。

 

ですが、これによって妻子の精神的ダメージは大きなものになるでしょう。

認知した子供や、その母親は妻子の攻撃の的になるかもしれません。

 

それでも、いろいろ考えてでも認知をした方がよいなら、遺言認知という方法をとることもあります。

このとき、遺言執行者が届出を行うことによって認知が実現します。

遺言執行者は必要なのか

そのため遺言書で認知を行う場合は、遺言執行者、つまり認知の届出を行ってくれる人を選任しておく必要があります。

 

認知の要件

遺言認知は、その子が成人していても、胎児であっても、すでに死亡していてもすることができます。

ただし、子供が成人している場合は、その本人の承諾が必要です。

胎児を認知する場合は、母親の承諾が必要。

遺言認知しようと思った子供がすでに死亡している場合も認知はできますが、その場合は直系卑属がいる場合にのみ認知できます。

つまり、認知しようとしている子供に、子供がいる場合です。

 

山崎豊子さんの女系(にょけい)家族

以前、この作品についてはブログでも書きました。

この作品が、ちょうどこの遺言認知を取り扱っているのです。

山崎さんは、なんというところに目を付けたのだろうと驚かされます。

遺言認知なんて、おそらく一般の人はあまり知らないのではないかと思います。

社長である矢島嘉蔵が死亡した際に、遺言書が残されていて、妾である浜田文乃の存在が明らかになります。

しかも嘉蔵の子供を妊娠している。

嘉蔵の実子である3姉妹はなんとか文乃親子に遺産を渡すまいと画策しますが、嘉蔵はそれも見越して手を打っているのです。

 

時代背景がかなり古く、大阪船場の独特な雰囲気を見事に描いた作品です。

ドラマ化されていますので、そちらをご覧になるのもお勧めです。

 

今の時代は、女性も働きに出ていて夫婦共働きもめずらしくありません。

そのため、家庭の中でも男性の役割が大きくなってきています(家事や子育てなど)。

ですから、男性が外で秘め事をもつというのは難しくなってきているかもしれないですね。

 

 

 

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