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公正証書遺言作成の当日の流れ(青砥公証役場の場合)

遺言執行者は必要か

公証役場の数以上に公証人もいます。
公証人によって、公正証書遺言の作成の進め方はまちまちです。
公証人によって、必要書類が違う場合もあります。

先日の江戸川区の小岩公証役場のように、
今回は葛飾区の青砥公証役場での作成の流れを書いていきます。

今回のケース

高齢の女性1名での作成です。
ご年齢のわりに、しっかり歩いてこられ、
言葉もハキハキ話されます。
とてもおちゃめでかわいらしい方でした。

 

遺言者が一人で呼ばれる

最初に、公証人に遺言者だけが一人で
呼ばれて行きました。
わりと長く話されていました。
ご本人の意思確認なのかもしれませんが、
ご本人は緊張され、少し苦痛だったようです。
ただでさえ、普通の人には「公証役場」なんて
どんなところか想像しづらく、かたいイメージがあるのに
一人だけで呼ばれていくなんて、と心配になりました。

 

そのあと証人が呼ばれるのだが…

そのあとやっと証人二人が呼ばれます。
しかし、証人の身分証明書の確認はありませんでした。
身分証の持参は必須であるのに、当日確認はないなんて、
こんなことがあるのだと驚きました。
証人は手元に運転免許証を準備して座っていたのに、
とうとう最後まで公証人はそれには触れませんでした。
証人は記名と、認印の押印をする場面がありますが、
それでは本人確認にならないはずです。
しかも今回の証人二人は、遺言者と初対面です。
公証役場で手配した証人でもありません。

 

遺言書の内容の確認

この流れは、前回の小岩公証役場での流れと変わりません。
公証人が遺言書を読み上げ、遺言者が「はい」と返事をするだけでした。
一点、字の間違いがあり、訂正が入りました。
その訂正を事務員の方が行っている間、
公証人と、遺言者と、証人二人の4人は、
なんとなく気まずく、沈黙して顔を突き合わせているのでした。

訂正が終わり、内容確認がすべて終了しました。
遺言書の原本にのみ、
遺言者が記名と実印での押印、
証人二人も記名と押印をします。

小岩公証役場と違ったのは、
そのあと、原本のページごとに上の余白に
遺言者と証人の3人の押印が必要だったことです。

小岩公証役場では、この作業はありませんでした。
この取り扱いの違いはなんでしょうか。

そしてそれが終わったら、印鑑登録証明書と共に
製本されるのです。

 

正本と謄本の交付

原本の保存期間や閲覧ができる人が誰なのか、
正本と謄本とはどういうものかの説明は、
公証人からはありませんでした。
データで残すかどうか、
同意書のチェックについては簡単に説明がありました。

角2の封筒を渡されただけです。
角2の封筒のフラップ部分には、小岩公証役場と違って
「この封筒はのり付けしないでください」のスタンプは
ありませんでした。
小岩公証役場のオリジナルかなと思いました。

 

手数料のお支払い

小岩公証役場では、公証人がその場で
お金を数えて確認し、領収書を手渡していましたが、
青砥公証役場では、その作業はすべて事務員の方がされていました。

全体的に見て、小岩公証役場の方が
公証人の説明もじっくり丁寧でやさしく、印象がよかったです。

 

遺言書は貸金庫に保管する?

遺言者が正本と謄本を角2の封筒に入れながら、
証人にこう話しかけていました。

「この遺言書はどこに保管しとこうかね?貸金庫でいいかね?」と。

証人はあわてて「だめですよー」と答えていました。
「でも大事なものはすべて貸金庫に入れたい」と遺言者。
なぜだめなのでしょうか?
公証人もその場にいて、
「あとでご相談なさったほうがいいですが、
貸金庫だけはやめたほうがいいですよ」と言いましたが
控えめにボソッとつぶやく程度でした。

その理由。
遺言書の発見が遅れるからです。
貸金庫の名義人が死亡してしまうと、
貸金庫の相続手続きを行わなければ開扉することができませんし、
時間と手間がかかってしまいます。
もし相続人が遺言書のことを知らなければ、
貸金庫開扉の前に遺産分割をしてしまう可能性もありますし、
手続き上の問題が沢山発生してしまいます。

遺言執行者が指名されていれば、正本はその方が保管しますが、
遺言者も遺言執行者も一般の方で、何も知識がなかった場合は、
正本も謄本も、遺言者が貸金庫に保管してしまうかもしれません。
遺言書で貸金庫を開ける権限を与えれていても、
その遺言書が貸金庫に保管されていてしまっては
元も子もありません。
公証人は、その辺をしっかり教えてあげてもよいのでは、と思いました。

公正証書遺言を作成するのに、
どうして行政書士や他士業がサポートする必要があるのだろう、
と最初のころは思っていました。
プロ中のプロである、公証人がいるのに、と。
基本、公証人は聞かなければあまり説明してくれません。
今回は特にそうでした。
だから、私たちが間に入る余地があるのでしょうが、
遺言書が根付いていかない理由は
こういう部分にあるのかなと思いました。

一般の人にとって、公証役場は敷居が高すぎる!!

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