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遺言執行者は必要なのか

遺言執行者は必要か

遺言執行者って、聞いたことがあるでしょうか?

遺言書が残されていたり、書く機会がなければあまり関係がありません。

遺言執行者とは

遺言執行者とは

遺言書を書いたとき、それが効力を発するのは遺言者(遺言書を書いた人)が死亡したときからです。

(遺言の効力の発生時期)

民法第985条

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる

遺言者は自分の意思表示として遺言書を書くのですが、それを実行するのは自身ではありません。

その時には、亡くなってしまっているからです。

その遺言の内容を実現してくれる人、それが遺言執行者です。

 

遺言執行者になれる人とは

特別な資格が必要なわけではありません。

(遺言執行者の欠落事由)

民法第1009条

未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

 

民法にはこのように規定されているだけですので、これに該当しない方であれば誰でもなることができます。

では未成年が、いつの時点で未成年だと遺言執行者になれないのか。

  1. 遺言書作成時
  2. 遺言の効力発生時(遺言者の死亡時)
  3. 遺言執行者の就職日(遺言執行者になる日)

いくつかの見解があるようですが、

3.の遺言執行者の就職日、つまり就職を承諾したときを基準とするのが有力なようです。

 

ちなみに、遺言執行者になることを「就職」と表現することに違和感があるかもしれませんが、民法にそう書かれているのです。

(遺言執行者の任務の開始)

民法第1007条

遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

 

また、遺言執行者には法人でもなることができますし、複数人いてもかまいません。

 

 

遺言執行者の決め方

遺言執行者の決め方

遺言執行者の決め方には、以下の2つの方法があります。

遺言による指定

遺言書を残す場合、この方法で遺言執行者を指定しておいた方が、残された人の手続きがスムーズになるかもしれません。

遺言書の中で遺言執行者を指定する方法です。

例として、このような文面になります。

 

第○条 遺言執行者の指定

遺言者は、 本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。

 住 所 東京都江戸川区○丁目○番○号 

 氏 名 行政書士 難波知美

家庭裁判所により選任

遺言書に執行者が指定されていない場合、こちらの方法をとります。

利害関係人の請求により、家庭裁判所は遺言執行者を選任することができます。

この場合の利害関係人とは、相続人、受遺者、被認知者などが該当します。

 

遺言執行者が必要な場合とは

遺言執行者が絶対必要、というわけではありません。

遺言執行者によらなければ執行できない、とされている事項がある場合に必要です。

  • 子供の認知
  • 推定相続人の廃除
  • 推定相続人の廃除の取消し
  • 一般財団法人の設立

 

必要ではないが、指定しておいた方がいい場合とは

相続人のために

また、必要というわけではありませんが、遺言執行者を選任しておくとよい場合もあります。

不動産を遺贈する場合です。

遺贈とは、遺産を相続人以外の者に渡すことです。

例えば、配偶者に渡す場合は「相続」になりますが、内縁の配偶者に渡したい場合は「遺贈」になります。

この場合、配偶者に不動産を相続するための相続登記は、配偶者が単独で登記申請をすることができます。

「登記」とは、その不動産の権利取得を第三者に対抗するためのものです。

簡単に言えば「この土地は、私のものだよー」と知らせるようなもの。

 

しかし、内縁の配偶者は相続人になり得ませんので相続ではなく「遺贈」になります。

この場合は相続登記ではなく、遺贈登記となります。

大きな違いは、遺贈を受けた内縁の配偶者は単独で登記申請ができないのです。

相続人全員との共同申請になります。

ということは、相続人の中に遺贈を認めないという人がいた場合、協力が得られないことになります。

また、相続人が多数いる場合も、協力を求めるのが大変になる可能性があります。

 

ここで、遺言執行者がいれば、この相続人全員の代わりになります。

遺言執行者との共同申請ですむことになるのです。

 

遺言執行者には、上記で述べたように、欠格事由に該当しなければ誰でもなれますが、私たち行政書士を指定することにメリットがあります。

相続手続とは、知識がなければ煩雑になるものです。

例えば、銀行口座の解約にしても平日にしかできないわけです。

70代以上の方が亡くなった場合、そのお子さんたちは40代から60代の現役世代になります。

現役世代は仕事、子育て、介護など何かと忙しいです。

知識のある遺言執行者がいれば、スムーズに相続手続ができます。

 

まとめ

遺言執行者のまとめ

「遺言執行者は必要なのか」という問いに対しては「YES」と言えるでしょう。

遺言書を残すということは、それなりの思いがあるはずです。

例えば、残された相続人たちに苦労をかけたくない、もめごとを起こしてほしくない。

そういった気持ちを実現するための遺言執行者、想いの実現者です。

自筆証書遺言にしろ、公正証書遺言にせよ、苦労してまたはお金をかけて残すはずです。

それを無駄にしないためにも、遺言執行者は指定しておきましょう。

 

公正証書遺言作成のお問い合わせはこちらからどうぞ。

 

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