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11.42022
成年後見制度とは。デメリットも知っておこう。
目次
成年後見制度。
または、法定後見制度、任意後見制度。
高齢化社会に突入している現在、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
また、障がいのある方が身近にいらっしゃった場合、支えている自分がいなくなったらどうすればよいのか考えたこともあるでしょう。
成年後見制度とは
認知症、知的障がい、精神障がいなどによって判断能力が低下している人(=被後見人)を守るための制度です。
判断能力が低下した被後見人のために、法律的に財産や権利の保護を支援してくれる人(=後見人)を選ぶのです。
民法には以下のような条文があります。
(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)第858条成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
成年後見制度の対象者とは
認知症、知的障がい、精神障がいなどによって判断能力が低下している人と書きました。
具体的にはこんな悩みを持つ人です。
- 知的障がいをもつ子の、親の自分がいなくなったあとの生活や財産管理が不安。
- オレオレ詐欺に引っかかってしまった。昔はこんなことはなかったのに。
- 病気で父が倒れてしまった。父の不動産を整理して入院費にあてたい。
- 高齢でも今は元気に働いているが、仕事を辞めたら認知症になってしまうのではないか。そのときどうしよう。
成年後見制度の種類と特徴
成年後見制度 | ||
種類 | 法定後見制度 | 任意後見制度 |
制度の内容 | 本人および親族等が裁判所に申し立て、裁判所が選任した後見人に支援してもらう | 判断能力があるうちに、支援してもらう後見人と公正証書により契約しておく。 |
判断能力が | 不十分になってから | 不十分になる前に |
後見人の報酬 | 月額2万円くらいから | 契約で決めた額(無報酬もありえる) |
誰が後見人 | 裁判所が選んだ人 | 判断能力が不十分になる前に自分が決めた人 |
後見監督人 | 必要と判断されれば裁判所が選任 | 必ず選任 |
成年後見制度と一言でいっても、法定後見制度と任意後見制度にわかれます。
大きな違いは、すべてを裁判所が決めてしまう法定後見制度に対し、任意後見制度は後見人になる人や、後見の内容まで自分で決められる点です。
任意後見制度は自由な契約となるため、家族などに無報酬で後見人になってもらうこともできます。
ただし、任意後見制度では後見監督人の選任が必須になるので、この報酬がかかってくることに注意です。
後見監督人とは、裁判所に代わって後見人が行う事務を監督する立場の人です。
後見人の見張り役です。
法定後見制度と任意後見制度のどちらも、報酬としてのランニングコストはかかってきます。
もう一点大きな違いは、任意後見制度は判断能力が低下してから選ぶことができません。
判断能力が十分なうちに、支援してもらいたい後見人と契約をする必要があります。
ですので、障がいを元々もっている、またはすでに認知症になってしまった人は、法定後見制度を選ぶしかないのです。
ランニングコストという点でいえば、法定後見を開始したら、途中でやめることはできません。
被後見人の判断能力が回復するか、亡くなるまで続きます。
任意後見においては、後見監督人の申し立て=任意後見の開始となります。
後見監督人を裁判所が選任する前なら、いつでも契約解除ができます。
後見監督人が選任された後では、正当な理由がある場合において契約解除が可能です。
逆に、後見人に著しい不貞行為があった場合などは申し立てにより、解任することができます。
成年後見制度のデメリットについて
もちろん、困っているからこの制度を利用したい人が多いのだと思います。
ですが、一度利用したら途中でやめることができないので、デメリットもしっかり理解しておきましょう。
デメリット1:後見人は裁判所が選ぶ
法定後見制度の場合です。
後見人になってもらう人は、裁判所が決めます。
弁護士や司法書士などの、知らない第三者になる場合もあります。
希望に沿わない人が後見人に選ばれても、そのことを理由に不服申し立てができません。
デメリット2:後見制度はずっと続く
(預貯金がなくなって管理するものがなくなったなどの)目的を達することができたので、もういいやと辞めることはできません。
基本、被後見人が判断能力を回復するか、死亡するまで続きます。
法定後見制度では後見人に、任意後見制度では後見監督人に少なからず報酬が発生します。
法定後見制度で後見監督人が必要と判断されればその報酬、任意後見制度では後見人との契約によってはその報酬がさらにかかってきます。
この報酬は、被後見人本人の財産から支払われます。
デメリット3:被後見人本人の財産は自由につかうことができない
この制度の趣旨は、財産の管理と保護です。
ですので、相続対策や、資産を活用して投資などは無理でしょう。
また、孫にお祝い金をということも難しいかもしれません。
相続対策は相続人のためであって本人のためではないし、資産の活用はリスクを伴います。
財産を保護していくという観点から外れてしまうからです。