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10.122024
東京都の障害福祉指定申請書を提出する際のマニュアルとはどのようなものか後編
目次
こちらの続きになります。
権利擁護に関する規定及び虐待マニュアルの4つのうち2つまでご紹介しました。
今回はその残りの2つと危機管理マニュアルについて触れます。
権利擁護に関する規定及び虐待防止マニュアル
苦情解決マニュアル
苦情解決については「利用者(入所者)又はその家族からの苦情を解決するために講ずる措置の概要」について様式の提出を求められます。
これを補足したようなものをマニュアルとしてまとめます。
こちらも虐待防止対応マニュアルと同じように「目的」の記載から始めます。
苦情解のための責任者と担当者を決め、それぞれの職務も記載します。
また苦情が寄せられた際、どのように対応するのかの流れも必要です。
虐待防止対応マニュアルもそうですが、受付のためや報告のためのフォーマットも別紙で作成したほうがいいかもしれません。
人によって記録する内容が違うといけませんので準備しておいた方が具体的にイメージができ、流れもスムーズになります。
ハラスメント防止マニュアル
こちらは利用者ではなく、職員に対するハラスメントの防止についてです。
職場ではパワハラ、セクハラ、マタハラなどいろいろなハラスメントが発生する可能性があります。
それを防止するための規程です。
まずはそれぞれのハラスメントの定義をしましょう。
そして具体的なハラスメント内容に対し、禁止するということを明記します。
それでもハラスメントが起こってしまった場合や相談を受けた場合にどのような対応をするか、そもそもハラスメントが起こらないようにするための施策を具体的に記載します。
以上前編に引き続き、権利擁護に関する規定及び虐待防止マニュアルの中の
- 虐待防止対応
- 身体拘束に対する基本方針
- 苦情解決
- ハラスメント防止
4つに触れてみました。
これだけあれば指定申請が通る、と言い切れるわけではありません。
また逆にこれらすべてが必要かはわかりません。
各事業所さんに付いている都の担当者による部分も大きいと思いますので、個別にご相談なさってください。
危機管理マニュアル
これまた何を作成したらいいの?という感じです。
私が作成しているものは次の3つになります。
緊急時が起こったときの通報マニュアル
「緊急時」と一言で言ってもいろんなケースがあると思います。
救急車を呼ばなければいけない緊急事態、利用者が行方不明になってしまった場合、利用者間のトラブルなど。
そのような事態が起こった場合、どのように対応するかなどフローにしておくと職員が困らなくてよいかと思います。
管理者や責任者への報告、利用者の家族への報告もいつのタイミングでどのように行うか記載しておきましょう。
防災マニュアル
地震、火災、水害などの災害に対処するためのマニュアルです。
現在BCPの作成が義務化されていますので、その作成と共に行ってもいいと思います。
災害が起こったときの職員の役割分担、職員の緊急連絡網、関係各所の連絡先一覧、災害予防として行っている対策、備蓄品のリスト、避難場所と避難経路、ハザードマップ、避難方法、防災訓練計画などを記載しておきましょう。
BCP作成が義務化されているので、ネット上には参考にできる情報も多いです。
感染症対策マニュアル
コロナ以降、感染症対策はもはや常識となってきており、こちらもBCPを作成しなければなりません。
コロナに限らず感染症が起こった場合の対応についてマニュアル化しておきましょう。
こちらも防災マニュアルと同じようなことを決めておくことが必要です。
備蓄品も、災害対策としての備蓄品と感染症対策のための備蓄品は内容が違ってきます。
感染症の疑い者が事業所で発生した場合、昨日通所した利用者さんがご自宅で発症してご家族からその旨の連絡を受けた場合など、ケースによって対応の仕方が変わってくるかと思います。
それぞれの場合を想定して、事業所としてどのように動くのか決めておきます。
また決めるだけではなく、実際に動けるように訓練や教育も必要です。
(就労系事業所では、定期的な訓練や教育が年2回以上必要です。)
このような観点からマニュアルを作成しておきましょう。
まとめ
2回にわたって、東京都の指定申請時に提出するマニュアルについて解説してきました。
何が正解で何が不正解ということはないと思います。
ただ、初めて作成される場合は途方にくれてしまった経験があるので参考になればとご紹介しました。
事業を開始すると、年に決められた回数だけ行わなければならない研修や訓練などがいくつかあります。
ただ指定申請を通すだけのマニュアルを作成するのではなく、その研修や訓練で活用できるようなマニュアルを作成するよう心がけましょう。
指定を取るだけでも大変だとは思いますが、事業を開始してからはさらにやらなければならないことが山積みです。
そういったことを見据えて、形骸化することのないマニュアル作りをしましょう。