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9.162024
任意後見契約を結んだお客様からのレビューをいただきました
任意後見を含めた成年後見制度についてこちらで解説しています。
この春に、親子で任意後見契約を結ばれたお客様がいらっしゃいました。
そのときの記事はこちらです。
ご依頼くださった娘さんの方が、その時のレビューを寄せてくださいました。
ぜひ同世代に知ってもらいたい、という思いを込められてとのことでしたのでご紹介させていただきます。
任意後見人になる契約を結びました、のレビュー(二女目線)
家族構成
父:77歳無職 年金暮らし 実家の土地の名義人で建物は母と共有名義 要介護2
母:77歳無職 年金暮らし 実家建物を父と共有名義で保有
二女:44歳会社員 バツイチで父母と実家で同居 ※今回の依頼人で記事の中に出てくる「私」
長女:この3人とは同居しておらず一人暮らし。障害があり会社員独身
背景ときっかけ
2023年になってから、保険好きでたくさんの契約をしている母の担当外交員の方や銀行の担当者から、同居している私に会いたいという連絡をいただくようになった。
父母ともに現役時代はフルタイムで働いており、今では当たり前かもしれないが父母のお財布は別。
そのため、母の資産については父はノータッチである。
逆にめんどくさがりの父は、自分の資産管理をほぼ母に委ねている状態。
2年前に祖母が他界した際は、銀行など資産を預けている金融機関がそこまで多くなかったため、相続手続きはそこまで大変ではなかった。
だがそれに比べ、父母はたくさんの金融機関名を口にしているとふと思った。
父母にもしものことがあったときに障害のある姉は頼れない。
父母のどちらかにもしものことがあっても、もう片方が機敏に動けるわけではない。
では機敏に動け同居している私がすべてを把握できているかというと、答えはノー。
父母の財産を把握しているのは自身のみ。
しかしその父母自身の認知機能も最近は怪しい。
そこで最初の話に戻る。
保険外交員の方や銀行の担当の方と話した結果、母の保険料が引き落とせずに未納になったり、何度説明しても契約が理解できなかったり、銀行の通帳やカードを何度もなくしその都度再発行をして手数料の1,000円を払っていたことなどが発覚した。
現時点で資産の全体像は見えないし、そもそも母が何の保険に入り、両親がどこの金融機関の口座を持っているかも私は知らない。
そろそろ何とかしなければと考え始めていた。
ふと成年後見人という言葉を思い出して、難波先生のブログで成年後見人・任意後見人について知った。
認知症がひどくなってからでは後見人が本人の希望で選べないことにショックを受けた。
その流れで難波先生に相談をし、親身になって話を聞いていただいた。
全く知識のない者にもわかりやすくメリットとデメリット、任後見人になったときにできることとできないことを詳しく説明してくださった。
信頼できる行政書士さんだと思い、私が任意後見人になることを決意。
任意後見契約を結ぶまでの道のり
そこで、今度は任意後見契約を結ぶことの重要性や意義を両親に説得することに取り掛かった。
今後基本は私が資産管理をしたいと思っているが、いざ認知症になって成年後見人を立てた場合に家族ができることに限りがあること。
姉に頼れない分、現実的に見て機動力のある私に資産管理を任せてほしいこと。
父母の懸念点であった資産が理由で姉妹けんかにならないかという点は、私が任意後見人になったとて、私が不正をしないかを見張る監督人がつくことになるので私が好き勝手にできないということ。
以上のようなことを話した結果、最初は意味が分からず先送りにしようとしていた両親も、最後は物忘れが激しくなった自覚があることも相まって、ともに納得してくれた。
任意後見契約を結ぶ当日。
両親と私は人生初の公証役場訪問。
足が悪い父が不便なく入れるかどうかなども難波先生が段取りをしてくださった上、役場に行く直前に改めて両親二人と打ち合わせを行ってくれた。
あんなに最初は納得してくれなかった両親が、プロの話だとあっさり納得するのを見て驚いた。
もっと早くから難波先生に入っていただいて説明してもらっていたらスムーズだったな、と。
役場の公証人の先生もそこまで堅苦しい方ではなく、難波先生が立ち合い両親のサポートをしてくださりながら1時間弱の滞在で完了。
任意後見契約を公正証書で作成するには実印が必要となるのだが、この話がなければ母が実印を紛失していたことにも気づかなかっただろう。
そういうきっかけを与えてくれた出来事でもあった。
その後
まだ両親ともに任意後見契約の発効はしていない。
あれから数か月たつが、前よりも資産の話をオープンにしてくれるようになった。
そして一部の保険は解約するなど、少しずつ資産をシンプルにしていくことに協力してくれるようになった。
母が保険外交員の方や銀行担当者の方と面会する時は私も同席し、保険契約と保有口座の整理を行うことで通帳や印鑑などの紛失することもなくなっている。
両親ともに自分が衰えたというのを認めたくないのが半分、でもお金のことは難しいし、姉妹のどちらかに委ねると姉妹でもめるのではないかと心配なだけだったようだ。
ただシンプルに。
私自身、頼ってきた両親が年を取って逆にサポートが必要になってきたことについては複雑な気持ちではある。
しかし法的な部分を理解しその上でできることとできないことに向き合い、いざというときのために備える基盤を整備できたのがよかった。
難波先生、ありがとうございました。