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就労移行支援の基本報酬の考え方と、就労継続支援A型B型との違い

障害福祉サービス就労系

就労系の3つのサービス

就労移行支援

障害者総合支援法に基づくサービスには、就労や訓練に特化したサービスがあります。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

この3つは、一般企業に就職する前の障害を持つ方に対し支援を行うサービスです。

 

3つのサービスの違いとは?

こちらの表をご覧ください。

訓練/労働 賃金 事業者との雇用関係
就労移行支援 訓練 なし なし
就労継続支援A型 労働 最低賃金法に基づく あり
就労継続支援B型 労働 工賃

(平均額3,000円/月以上)

なし

 

 

就労移行支援は、就労するための訓練や研修を行うという支援を行います。

それに対し、就労継続支援は実際労働する場所を提供し、その対価を支払います。

就労継続支援を行う事業者は、利用者に施設で行う生産活動、つまり「仕事」を提供しなければいけません。

 

就労継続支援A型は、利用者と雇用関係を結び、最低賃金法に基づく賃金の支払いが必要となります。

一般企業と同じ労働法に則るということです。

一般企業で就労する。

利用者からしてもこれと最も近い形の支援内容になります。

 

また、就労継続支援A型を実施する法人は、同一法人内において社会福祉事業しか行えません。

ということは、法人の定款目的に社会福祉事業以外の目的を含めることができません。

社会福祉事業とは、社会福祉法第2条に掲げる「第1種社会福祉事業」及び「第2種社会福祉事業」に該当するものをいいます。

 

A型に対し就労継続支援B型は、利用者へ支払う賃金として、工賃と呼ばれるものを支払うことになります。

こちらは、利用者一人一人に対し支払われるひと月あたりの工賃の平均が、3,000円を下回ってはいけません。

また、生産活動に係る事業の売上からその経費を差し引いた額(利益)は、すべて工賃として利用者に支払わなければなりません。

その支払い工賃額が高くなればなるほど、事業所に支払われる報酬も高くなります。

就労継続支援B型の報酬体系にはこのほかに「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する方法もあります。

 

就労継続支援の基本報酬の考え方

基本報酬

就労移行支援の報酬体系(基本のサービス費)は、以下の点に注目します。

 

  1. 就労移行支援事業所で訓練
  2. 1.の利用者が一般企業に就職
  3. 2.で6か月以上就労し続ける(就職後定着)
  4. 3.の人数が利用定員数の何割になるか

 

事業所で訓練した利用者が一般企業に就職して、そこで6か月以上就労し続けた人数が利用定員数の何割になるか、ということで決まります。

もちろん、6か月以上就労し続ける人数が多ければ多いほど(5割以上は報酬は変わらない)、報酬として算定できる単位は大きくなります。

 

就労移行支援サービス費(Ⅰ) 

就職後6か月以上定着率

区分

定員

5割以上 4割以上5割未満 3割以上4割未満 2割以上3割未満 1割以上2割未満 0割以上1割未満 0割
20人以下 1,128 959 820 690 557 507 468
21~40人 1,035 863 725 631 506 448 414
41~60人 1,003 838 693 596 497 428 395
61~80人 948 797 646 544 476 400 369
81人以上 915 760 607 498 460 374 346

(単位/日)

 

新規で開設した事業所は、2年度間は「3割以上4割未満」の区分で算定されます。

「2年間のうちに事業所運営を軌道にのせろよ」ということで、この2年度間が終わってしまうと、実績が悪ければ最悪「0割」の単位となってしまいます。

 

区分の考え方

区分

「○割以上●割未満」の考え方を具体的に見ていきましょう。

以下の状況を例に、取れる単位を考えてみます。

 

就労移行支援サービス費の考え方

 

  1. 氏名:就労移行支援のサービスを受けていた利用者名
  2. 就職日:一般企業に就職した日
  3. 就職先事業所名:利用者が就職した社名
  4. 前年度又は前々年度において6月に達した日(年月日):「就職日」から6か月が経過する日
  5. 届出時点の継続状況:届出をした時点で利用者がまだ就労しているかどうか

 

注目すべきところは「4.前年度又は前々年度において6月に達した日」です。

「年(1月~12月)」ではなく「年度(4月~翌年3月)」で考えていきます。

 

令和3年度の実績は緑のセルの7人です。

(「4.前年度又は前々年度において6月に達した日」が令和3年4月1日~令和4年3月31日までの利用者数)

令和4年度の実績は青のセルの6人です。

(「4.前年度又は前々年度において6月に達した日」が令和4年4月1日~令和5年3月31日までの利用者数)

届出時点で離職していても、6か月以上就労していたら人数に含めます。

 

この場合、令和5年度の報酬区分は以下のとおりです。

 

[(令和3年度の)7人 + (令和4年度の)6人] ÷ [(利用定員数)20人 + 20人] = 32.5%

 

3割以上4割未満に該当するので、就労移行支援サービス費としては820単位/日で報酬を算定することができます。

 

何をもって6か月在籍していることを証明するか

この基本報酬の算定区分に関する届出書を提出する際、添付書類もいっしょに提出することが求められます。

雇用契約書、労働条件通知書、在籍証明書などです。

「就職者の状況を事業者が企業に訪問して企業の担当者から確認をもらう等の方法によることも差し支えない」

(2022年度版障害者総合支援法事業者ハンドブックより)

とされていますが、具体的にどこまでの書類を求められるかは指定権者によります。

 

例えば、このような雇用契約書を証明のための添付書類とします。

左側の雇用契約書Aのみであったなら、実際令和4年の9月30日まで在籍したかどうかはわかりません。

令和4年9月30日まで雇用される契約であったかもしれませんが、途中で離職している可能性があります。

しかし雇用契約書Bもあれば、令和4年9月30日まで在籍していたとみてもらえそうです。

 

また「雇用契約書A+6か月後に電話で在籍していることを確認」のみでOKとする指定権者もあるでしょう。

指定権者によっては、このような証明書を添付せずとも、6か月在籍したことをどのように確認したかを記載するだけでOKとするところもあります。

「○月○日ご本人よりメールにて連絡あり在籍確認」のように。

どこまで厳格な証明書類を求められるかは、指定権者にしっかりと確認しましょう。

一番確実で誰が見てもわかりやすいのは、6か月の在籍証明書をもらうことかと思います。

 

証明書は事業所で書けるものではなく、利用者の就職先にお願いすることになります。

それを利用者経由でお願いするのか、事業者が直接就職先にお願いできるのかにより、入手する日数も変わってきます。

予想以上に手間取る可能性もあるので要注意です。

 

まとめ

就労系サービスの就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の違いをご説明しました。

また、就労移行支援の基本報酬の考え方については、具体的な例を用いてみました。

6か月の就労定着した証明書についてもお示ししましたが、こちらは指定権者の見解によるところも大きいので、しっかり確認をしてください。

ご参考になれば、幸いです。

 

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