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11.82022
遺言執行者は必要なのか
目次
遺言執行者って、聞いたことがあるでしょうか?
遺言書が残されていたり、書く機会がなければあまり関係がありません。
遺言執行者とは
遺言書を書いたとき、それが効力を発するのは遺言者(遺言書を書いた人)が死亡したときからです。
(遺言の効力の発生時期)
民法第985条
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる
遺言者は自分の意思表示として遺言書を書くのですが、それを実行するのは自身ではありません。
その時には、亡くなってしまっているからです。
その遺言の内容を実現してくれる人、それが遺言執行者です。
遺言執行者になれる人とは
特別な資格が必要なわけではありません。
(遺言執行者の欠落事由)
民法第1009条
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
民法にはこのように規定されているだけですので、これに該当しない方であれば誰でもなることができます。
では未成年が、いつの時点で未成年だと遺言執行者になれないのか。
- 遺言書作成時
- 遺言の効力発生時(遺言者の死亡時)
- 遺言執行者の就職日(遺言執行者になる日)
いくつかの見解があるようですが、
3.の遺言執行者の就職日、つまり就職を承諾したときを基準とするのが有力なようです。
ちなみに、遺言執行者になることを「就職」と表現することに違和感があるかもしれませんが、民法にそう書かれているのです。
(遺言執行者の任務の開始)
民法第1007条
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
また、遺言執行者には法人でもなることができますし、複数人いてもかまいません。
遺言執行者の決め方
遺言執行者の決め方には、以下の2つの方法があります。
遺言による指定
遺言書を残す場合、この方法で遺言執行者を指定しておいた方が、残された人の手続きがスムーズになるかもしれません。
遺言書の中で遺言執行者を指定する方法です。
例として、このような文面になります。
第○条 遺言執行者の指定
遺言者は、 本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。
住 所 東京都江戸川区○丁目○番○号
氏 名 行政書士 難波知美
家庭裁判所により選任
遺言書に執行者が指定されていない場合、こちらの方法をとります。
利害関係人の請求により、家庭裁判所は遺言執行者を選任することができます。
この場合の利害関係人とは、相続人、受遺者、被認知者などが該当します。
遺言執行者が必要な場合とは
遺言執行者が絶対必要、というわけではありません。
遺言執行者によらなければ執行できない、とされている事項がある場合に必要です。
- 子供の認知
- 推定相続人の廃除
- 推定相続人の廃除の取消し
- 一般財団法人の設立
必要ではないが、指定しておいた方がいい場合とは
また、必要というわけではありませんが、遺言執行者を選任しておくとよい場合もあります。
不動産を遺贈する場合です。
遺贈とは、遺産を相続人以外の者に渡すことです。
例えば、配偶者に渡す場合は「相続」になりますが、内縁の配偶者に渡したい場合は「遺贈」になります。
この場合、配偶者に不動産を相続するための相続登記は、配偶者が単独で登記申請をすることができます。
「登記」とは、その不動産の権利取得を第三者に対抗するためのものです。
簡単に言えば「この土地は、私のものだよー」と知らせるようなもの。
しかし、内縁の配偶者は相続人になり得ませんので相続ではなく「遺贈」になります。
この場合は相続登記ではなく、遺贈登記となります。
大きな違いは、遺贈を受けた内縁の配偶者は単独で登記申請ができないのです。
相続人全員との共同申請になります。
ということは、相続人の中に遺贈を認めないという人がいた場合、協力が得られないことになります。
また、相続人が多数いる場合も、協力を求めるのが大変になる可能性があります。
ここで、遺言執行者がいれば、この相続人全員の代わりになります。
遺言執行者との共同申請ですむことになるのです。
遺言執行者には、上記で述べたように、欠格事由に該当しなければ誰でもなれますが、私たち行政書士を指定することにメリットがあります。
相続手続とは、知識がなければ煩雑になるものです。
例えば、銀行口座の解約にしても平日にしかできないわけです。
70代以上の方が亡くなった場合、そのお子さんたちは40代から60代の現役世代になります。
現役世代は仕事、子育て、介護など何かと忙しいです。
知識のある遺言執行者がいれば、スムーズに相続手続ができます。
まとめ
「遺言執行者は必要なのか」という問いに対しては「YES」と言えるでしょう。
遺言書を残すということは、それなりの思いがあるはずです。
例えば、残された相続人たちに苦労をかけたくない、もめごとを起こしてほしくない。
そういった気持ちを実現するための遺言執行者、想いの実現者です。
自筆証書遺言にしろ、公正証書遺言にせよ、苦労してまたはお金をかけて残すはずです。
それを無駄にしないためにも、遺言執行者は指定しておきましょう。
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