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営業の極意

営業ウーマン

を、私が語れるわけではありません。

二人の営業マン

私が今まで出会った中で、あこがれるほどの敏腕の営業マンがいます。
ちなみに私は営業が苦手です。飛び込み営業なんてもってのほか。

 

敏腕営業マン、一人目

一人目は「マン」ではなく、「ウーマン」です。
私が新卒で入社したメーカー。
とにかく遊びたかった学生時代。県内では有名なメーカーだったし、
そこの内定をもらっただけで、就職活動はやめてしまいました。
まさかの、営業でした。営業をやることになるとは全く思っていませんでした。
やりたい仕事などなく、会社名だけで決めたようなもの。

 

本社は福岡県北九州市、当時はそこまで有名ではなかったこの会社も、
今ではテレビCMをやるほどになりました。
蛇口一体型浄水器と、そのカートリッジを販売する会社です。

 

入社一か月の新人研修を終えての赴任先は、愛知県名古屋市。
そこは20人ほどの小さな事業所でした。
1年上の先輩や、私より若い営業の人もいました。ですが営業歴も短いので
そこまでできる営業マンたちではありませんでした。
(若いので野心はあったと思いますが。もちろん私よりはすごい。)

そこで出会った20歳ほど年上の女性営業の人。Nさん。
中途採用で、その会社歴はまだ1年ほど。

そこに入るまでは、ハウスメーカーの営業や、高級リゾート商品を
社長などの高所得者に販売する営業マンだったそうです。
やり手の男性を相手に、かなり高額なものを販売してきたそうです。

引き抜かれなどして、いろんな営業を転々としていました。
私のいた会社には入社してまだ1年なのに、すでに営業で成績をあげて「社長賞」をもらっていたようです。

そのころの私にとって、そのNさんであれば物が自然と売れていくのが不思議でなりませんでした。
特別な話術があるようには見えなかったのです。

Nさんから教わったこと

Nさんが言っていたことは、いくつも覚えています。
それくらい、私には刺激があったのでしょう。

 

「数千円のものを売るなんて、ゲームと同じ」

当時の浄水器のカートリッジは、一本3000円ほど。それを一回ずつ購入してもらうのではなく、
一度契約すると、4か月に1度、勝手に送られてくるのです。
解約しなければ、ずっと継続的に代金が発生します。
もちろんその代金の回収は、銀行口座からの引き落とし。

その最初の契約をとるのです。
Nさんは言いました。
「数千円のものを売るなんて、ゲームと同じ。
一戸のマンションに50世帯がいるなら、何世帯契約できるかではなく
何世帯とりこぼしたか、というくらい簡単だ。契約が取れることが当たり前。」と。

 

「人の行動、言動には必ず理由がある」

「相手の行動には必ず理由があって、自分が不可解だなと思った相手の行動は、
実は自分の行動が引き起こしたものかもしれない。
商品を買うことも、買わないことにも、そこには理由がある」と。

 

「名刺を見ただけで、その人の性格がわかる」

それほどの営業マンですから、敷きつめて家のフローリングにできるくらい、名刺交換をしたでしょう。
ですから、名刺交換をして名前を見ると、その人の性格がなんとなくわかるそうです。
占い師のようなことを言っていましたが、聞いているとなるほど当たっています。
「名は体を表す」、そのとおりなんだと感心して聞いていました。

 

「営業は、引き抜かれてなんぼ」

そんなすごい人が、なぜ私がいた会社に入社したのかわかりませんが、
いや、確か羽を休めるため、と言っていたような気がします。
羽を休めても「社長賞」がもらえるほどの実力。
「営業やるなら、相手の会社から引き抜かれてなんぼだよ」とおっしゃっていました。

 

「役職は、時に部下を守るために必要」

私は入社してからすぐその人の下についていたのですが、男性陣からはやり手というのもあって
少し怖がられて敬遠されていました。
私は興味深々だったので、最初から「Nさん(下の名前)って呼んでいいですか?」と距離を詰めていました。
営業としてがんばりたいというより、その人に興味があって距離を詰めたのです。

一度、私がお客様にやらかし、失敗をしたことがありました。
中身は覚えていません。そのとき、Nさんがかばってくれようとしたのですが、
いくらやり手でも役職がついていないから、フォローしづらい、と言われていました。
「役職のある人が出ていったら、収拾がつくトラブルもある。役職は時に部下を守るために必要なんだよ」と。
とはいえ、Nさんは私が起こしたトラブルを、きれいに片づけてくれたのです。

 

一緒にいたのは一年間

Nさんは次の会社に転職されたため、いっしょにいたのは1年ほどでした。
ですが、とても濃い一年だったし、とてもかわいがってもらいました。
いろんな話を、覚えています。
言動はつっけんどんですが、愛があふれた人でした。
しょっちゅう飲みに連れて行ってもらい、ごちそうになり、ぎゅっと凝縮された1年でした。

その後、お宅に泊まりに行ったこともありますし、今もメールで交流を続けています。
今でも、Nさんが言った言葉をよく思い出します。もう20年以上も前のことなのに。

 

その後の私の営業力は、、、

そのNさんが辞めた直後、私も会社を辞めました。
精神的に営業に耐えられず。Nさんもいなくなって失意のために。
「Nさんの教えによって、社内で第二のNさんと呼ばれるようになりました!」なんていう
ことはありません。映画にもドラマにもならない、しょうもない終わり方です。
いまだに営業は得意ではありません。イヤです。
ですが、Nさんの教えは活かされている、はず。

もう一人の営業マンは次回に。

 

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